愛を知りたい君へ 5

海菜香  2009-04-04投稿
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「ごめん。待たせた?」
「ううん。待ってない。」
彼が優しく笑ってくれるのが、堪らなく嬉しい。


「それじゃ」
そう言って彼は教室に入った。
私も自分の教室に入り、席に着いた。
「サヤカ。」
後ろから話かけられ振り向くとカミヤ君が立っていた。
「何?」
微笑みながら聞くと本を差し出した。
「…昨日の本。」
「え?もう読んじゃったの?」
「あぁ」
彼の手から本を取り、ありがとう、と答えた。
それだけ聞くとカミヤ君はすぐに自分の席に戻っていった。


休み時間
暇があったので小説を読んでみることにした。
何分かたちページをめくると栞が落ちた。
「あ。」
拾い上げると、そこには字が書いてある。
『サヤカ、君に幸せになって欲しい。いつでも相談にのる。』
カミヤ君の字だった。
素直に嬉しかった。
私になんかにも優しく接してくれる人がいるんだ。
心からカミヤ君に感謝した。
「おぃ。サヤカ」
いきなり声がして驚いた、が冷静に栞を本に挟んだ。
「コウタ。」
「なぁ、少し一瞬にいないか?」
コウタは楽しげに笑っている。
「うん。」




私には、やはりコウタしか愛しない。
わかっていた。
彼が病気だってことも、彼が最近やけに明るいことも。
だから不思議じゃなかった。
彼が死んでしまうことが…

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