静かな公園に美香の足音だけが小さく響く。
誰もいない公園は、青白い街灯の光に照されて余計と不気味に映る。
見ない様に見ない様に。
そう意識すればする程に、目線は何故か自然と公園の方へ向った。
大きな噴水が目線にチラッと映った時に、美香は一気に血の気が引くのを覚えた。
「公園に…誰かいる…」
心臓が信じられない程に早く動いて、嫌な汗が額に滲んだ。
ゆっくりと美香は目線だけを噴水の方へと向る。
そのまま何も見なかった事にしてその場を立ち去れば良かったが、その時の美香は何か分らない影を背後に歩く方が怖かったのだ。
噴水が見えて、噴水の水が白く光る。
目線を徐々にずらしていくと白い水面に赤色が映っているのが見えた。
更に目線をずらす。
携帯を握る手がガタガタと震えた。
赤いワンピース
黒い髪
そこには俯いてピクリともしない女が一人立っていた。
「……コレって…」
美香の頭に友達の声が児玉するかの様に響き出す。
「気付かれるとスーって女が近付いてくるんだって」
美香は慌てて、携帯に友達の番号を出して足音を立てない様に早足で歩いた。
「ヤバイ。絶対あいつだ。」
プルルルと携帯の呼び出し音が耳元で鳴る。
「早く出て!!!」
心臓の鼓動と比例して歩くスピードも増す。
つづく