美穂は毎日ハローワークに出掛けたが、なかなか遼一には会えなかった。彼は色々とセミナー等にも参加しているようだ。
桃子には、何故か度々会った。そこで遼一の話題が出たのだが、桃子は遼一にメールを何度もしているようだった。
美穂は、心の中で舌打ちをした。自分はなんて間抜けだったのか…。アドレス聞いているのだからメールくらいすれば良かった。
遼一が妻子持ちだから遠慮していたのだ。
しかし吉原桃子はお構い無しのようだ。
負けてはいられない…。
しかし、なんてメールすればいいんだろう?
男の人に携帯メールなんかした事ないもん。分かんないよ。
桃子みたいに「犬と猫どっちが好きぃ?」などとバカみたいな話題は嫌だ。それでも遼一は優しく答えてくれるだろうが、美穂には無理だった。
それともみんな、そんな下らない会話からスタートするんだろうか?
美穂は絶対的な恋愛のスキルが不足していた。
だって彼氏いない歴イコール年齢イコール27だもん。
こりゃ、ちょっとヤバい。オシャレも頑張ろうと決意したのだが、何をどうすれば良いのか分からない。
ファッション誌を立ち読みしてみた。表紙の娘は皆かわいく派手だったが、全員同じように見えた。
髪型も服も違うのに、まるで制服のように同じに見えるのだ。
ワタシって、ひょっとしたらズレてる?
表紙の娘のキラキラした瞳はアニメかCGにしか見えない。
はぁ、どうしよっか…。
ふと、2つ歳上の姉の事を思い出した。そうだ…、お姉ちゃんに相談しよう。
姉の涼子は、すごくモテるのだ。子供の頃は、よく間違えられたほど顔立ちが似ているのに、美穂とは段違いにモテる。
涼子は、とにかくポジティブでアクティブでアグレッシブだ。そこが、モテ度を決める要素なんだろうか?