第二話 「メルヘンな主人公」
俺は天使の言うホームレスがリンチに合うという公園に来ていた。まだ別にそのホームレスを助けようとは思ってない。天使のいたずらかもしれない。しかし数分後に本当に起きた。想像通りの格好した若者達がホームレスを囲み暴力を振るう。
どうするんだ俺?
助けるのか?
できるはずないだろ?
おどおど迷ってると若者達の隙間からホームレスの顔が見えた。ぐしゃぐしゃで血まみれだった。
しかしその汚い体で守っていたものがあった。
猫だ。
ホームレスはどんなに暴力を受けても猫を必死に守っていたのだ。その時、体が震えたのを感じた。
あんなホームレスでさえ猫の命を守ってるのに俺は何だ?
人類消滅。
そんなのどうでもよかった。ただ目の前の命を救いたい。そういえば天使の奴が言ってたな。
「人間のもつロマンっていう物が好きなんだ」
悪くない。ロマンに生きようじゃないか。気がついたら俺はホームレスの所へ走っていた。
「や、やめろ!」
情けないことに声が震えていた。
「あ?」
若者達の視線が俺に集まる。
「その人に暴力を振るうのをやめろ!」
「は?何言ってんのこいつ。何ならお前も痛め付けてやるよ」
まあこうならるだろう。俺は拳に力をこめ、近くの若者を殴った。
「っ!てめぇ殺すぞ!」
想像通りの格好をした若者だが強さは想像以上だった。たちまち俺はぼこぼこにされた。
「口のわりに全然弱いじゃん。おいお前今なら土下座して謝れば許してやるよ。どうする?」
そう言って若者は笑った。
痛い。
血がでてる。
もうやだ。
土下座?…
「誰がするかあ!」
「じゃあ望み通り死ね」
若者が殴りかかろうとした時、光が周り包んだ。目をあけたらそこにいたのは天使だった。
「よく言った。協力どうもありがとうわたる君。いやあ…やっぱロマンっていいね華がある。」
「お前…何しにきたんだよ」
「言ったろ俺と一緒に世界を救おうって」
天使は似合わないウィンクをした。
「何だてめぇ!てめぇもボコされたいってか?」
「やだよ。痛いじゃん。それにボコされるのはお前らだ」
「何?」
「さあ反撃開始だ!」