「あの、”レメク”とかいう男、一体何者なんです!憂牙の知り合いですか!?」
古いアパートの部屋に二人の足音が響く。
「知らん」
ぶっきらぼうに答える憂牙が、自分の部屋から袋を取り出し、クロムに投げた。
「今すぐこの街を出る。荷物をまとめろ」
「えっ‥」
「まだ死にたくないだろう?‥あいつに関しての情報が少なすぎる。早くしろ!」
「・・・・」
赤いレンガの街にオレンジの光が降り注ぐ中、クロムは振り返った。
「‥行くぞ、クロム」
「・・・はい」
クロムの目の先には、あの教会が小さく映っていた。
「クロムまだかな〜。せっかく綺麗にしたのに」
教会の中には、四人の子供と、ゴンザとその友達が、クロムの帰りを待っていた。
「色々、大変なんじゃないか?」
「色々って何だよ!ゴンザ!」
「そうだ!色々って何だ!」
「色々は色々だよ!‥さっ、もうすぐ日が暮れる。そろそろ帰ろうぜ。また、ばーちゃんに怒られちまう」
「クロム、明日は来るかな〜?」
「あんなに喜んでくれたんだ、きっと来るよ」
教会の扉の無い出口から、六人の細長い影と、笑い声が、次第にかすれていった。
二人 終