美穂はさっそく涼子に相談を持ちかけた。
「アンタが相談なんて珍しいわね。いつも自己完結してるのに。いいわ、何でも言ってみなさい。涼子さんが答えてあげるから、さぁさぁ、うりうり」
涼子が優しく言った。
美穂は、言われて初めて気が付いた。ワタシって、いつも自己完結してた…。
しかし、いざ言葉にしようとすると、何から話せばいいのか分からない。いつも一人で悩み一人で解決していたから。
美穂の様子を察して、涼子は言った。
「アンタはね、自分に厳しすぎるの。もっと他人に依存していいのよ。もう少し甘えていいの。子供の頃から、いつも何かを我慢してる感じだった」
「お姉ちゃん…」美穂は言葉に詰まる。
「マジメで几帳面で親の言う事やルールをきちんと守る、とても良い子だった。だけどね、あんまり肩肘張って生きてると疲れるよ」
美穂は驚いた。先日の遼一が言っていたのと同じ言葉が姉の口からでたからだ。
素直になろう…。そう思った。遼一を頭に浮かべる。勇気が出てきた。遼一さんみたいになりたい。美穂は遼一を真似て、ストレートに言いたい事だけを言った。
伝わるだろうか…。伝わらなければ、繰り返せばいいや。少し相手に甘えよう。時間をちょうだいお姉ちゃん…。
「好きな人ができた。もっときれいになりたい…」
涼子は一度大きくまばたきをして、にっこり微笑んで言った。
「そう、それでいいの。素直な言葉ね。よく分かったわ。大丈夫、ちゃんと伝わってるわよ。アンタの気持ち。相手は誰でもいいの。まず口に出して意思を表明する事が大事」
美穂は嬉しくなってきた。なんだか涙まで出てきた。
「ありがとう…お姉ちゃん」