登美雄はノリノリだ。
登「スケボーってよ、いくらぐらいすると!?」
そう、俺たちは何にも知らない、完璧な初心者だ。
里「普通にいいやつを全部コンプリートしたら2〜3万くらいやね〜」
里西は当たり前のような顔で言った。
登「えっ!?そんなすると!?ってかコンプリートって何なん!?」
俺も目が点だ。
そんな2人のための、里西スケボー講座が始まった。
里「スケボーはよ、板(ボード)とこのトラックってのとビス、あとウィールとベアリングの5つのパーツを組んで自分でスケボー作るんやけど……」
里西の丁寧な説明の途中で、登美雄が、
登「自分だけの組み合わせで作れるっちゃっ!!すっげーかっけーやん!!」
テンションが高めだ。
里西は、笑いながら説明を続けようとしたが、さらに登美雄が、
登「もう説明はいーが!今から買いに行こーや!!早く滑ってみてぇっ」
我慢できず、ウズウズしてる。
里西も賛同して、
里「まぁ、もう今日は授業でる気ねーしね。今から市内に買いに行くか」
登美雄が大きくうなずいてる。
しかし俺は無理だった。
成「いやぁ、俺そんな金ねぇわ」
里西はキョトンとして、
里「バイトしちょって聞いたことあるけど、金ねーと?」
と聞いてきた。
登美雄が、「しまった」という顔をしたのがわかった。
成「・・・バイトはしちょっけどさ、うち母ちゃんだけでよ、母ちゃんもパートやし、貧乏やけーさ。バイト代も生活費に回るんよね。やけん学校もバイトを許してくれとるんよね」
隠す必要はなかった。
あまり人に家庭事情を話す機会がないだけで、知ってる奴はなぜか知ってるし、知られても何も思わない。
成「でも、登美雄が買いに行くのには付き合うわ。しかし、あんたは金持ちでよかね」
前に俺の事情を知っていた登美雄はニカッと笑った。