目に入ってきたのは、隅にある小さなテレビから流れる映像。
外国の少年達がスケボーを乗り回している。
自分の体の一部のようにスケボーでトリックを決めたかと思うと、次は坂道を車よりも速く急降下している。
目を奪われていた。
店長「すごいっしょ、それ」
急に話しかけられた。
うなずくことしかできなかった。
店長「この映像あげるよ。イメージトレーニング用に」
と言って彼は一枚のROMをくれた。
成「…………あざっす」
彼は何も言わずレジに戻って行って、登美雄の板をコンプリートし始めた。
三人でただその作業を見つめていた。
登美雄の板が完成した。
店長は、
「それじゃぁまた」
と一言だけ発した。
店を出て、
3人でそれぞれの板を見比べた。
登美雄のは、
外人女性の転写柄、色は赤黒ベースで、一番幅も高さもある。
里西の板は、
俺にはよくわからないグラフィックアート的な柄で、青と黄色ベース、高さはあるが幅は狭めだ。
そして、いちいちオシャレだ。
俺の板は、
木目の板にさっき買った百合の紋章のステッカーを貼っただけのシンプルなもの。高さも幅も平均的。
3人共、板とそれぞれを見て、変にニヤけた。
さっきの映像が頭から離れず、滑ってみたくてウズウズしていた。
2人も同じ気持ちだっただろう。
その足で、俺たちの町に帰った。