私と修は去年の6月に結婚した。修は内科医、私は医療事務という仕事の中で知り合った。
今まで付き合った事も結婚願望もなかった私に修は全てを教えてくれた…
でも、医療事務から主婦へと転移した私にとって独りの時間は寂しくて、仕事だと分かっているのに寂しくて、毎晩修の帰りを待ちながら少し泣いて笑顔で「お帰り」の4文字を言う。
今日だけは言えなかった…結婚記念日に張り切って用意した料理と小さくなってしまった自分…
「ただいま」いつもの用に修は言う。お帰りが言いたいのに言葉を詰まらせて言えない。今言ったら涙腺が緩んでしまうよ修は頑張ってくれてるのに…
料理と小さくなった私を見て修は、優しく抱きしめた。涙が溢れて来て、修に抱きつきながらお帰りを言った。
修はポケットから白とピンクの箱を取り出すと首にそっとペンダントをかけてくれて、小さくゴメン…と言った。ペンダントには私と修の文字があった。こんな高級なペンダントを笑顔で受け取れない自分が憎くかった。
ただ、修は忘れて無かった。修は切なそうな顔を近付けると優しいキスをしてくれた。
やっと私は笑う事が出来た。
こうやって、たまに私をシンデレラストーリーの主人公にしてくれる彼が大好きなのです。