――……いつもと同じ。
穏やかな朝。
昨日の明日。
明日の昨日。
今日。
いつもと同じようにやってきた。
1分1秒、狂うことなく今日はやってきた。
『狂ってるっていったら…………』
僕だ。
毎朝8時30分にに始まる朝のHR。
僕はその10分前に家をでる。
家から学校まで大体電車に20分揺られれば着く。
つまり僕の学校生活は、1限目の途中から始まる。
それなのに、今日ときたら8時には学校に着いていて、
ゆっくりゆっくり階段を上がったのに、8時6分には屋上で寝転がっていた。
『これ…遅刻って言うのかな。』
そして、僕は期待していた。
あの女の子が屋上に来ることを。
『またね。ってことは、また会うってことだろ?』
明日も来るかどうかも聞かれたし…
『今日は…名前聞いてみよっかな。』
どうやって聞こう…とか、なんて名前か当ててみようかな…とか、
いろいろ考えてるうちに、校庭が騒がしくなってきた。
『…みんないつも早いんだなー。』
いや、これが普通なのか。
『俺が遅すぎなんだな。』
はははっ…と乾いた笑いをしながら寝転がる。
『…ねむ…………』
久しぶりに早く起きたせいか、まぶたがなまりのように重く感じる。
『…あの子くるまで…寝てよっかな…』
僕はまた、昨日と同じように夢の国へと旅に出た。
――…………風が…つめた…
『いいっ?!!』
がばっと勢いよく起き上がったら、頭がクラクラした。
昨日と同じように、空はうっすら夕焼け色に染まっている。
『……うわぁ…。』
やるせなさに溜め息をつくと、
カーン!と音を立てて、空き缶が僕の頭に当たった。
『痛ッ!ちょっ…誰だよッ!!』
振り替えった瞬間、ザァッと強い風が吹いた。
缶が飛んできた方向に、あの子が
昨日と同じように座っている。