その時私は『ん?』と思った。
(…確か…ウィンて名前で『さん』付けだった気が…。)
「あ…私、本間は名字…じゃなくてファミリーネームで…名前がりく…なん…で…す…。」
「そうなんですか?変わった組み合わせですね…。あ。それよりリクさん。」
あ…やっぱり 本間が名前て思ってたんだ。
ウィンは私の向こうを指して聞いた。
「あれは…貴女のですか…?」
その先には、見覚えのある一台の原付…。
「あ…うん。そうだよ…。」
ウィンは一人の兵士に指令をだしてから私に向き直った。
「リクさん。今から城に出向いて下さいますか?見たところ、行く宛てがないようなので。」
「あ…いいの?」
それは、ありがたい。
突然、異世界(私が考えた小説の世界だが。)に来た私は、何処に何があるのかわかんないし…。
私が書いたのに…。
まぁ、そんなことで私は城に出向いた。
[ウィンの勤めてる城は古風な雰囲気がある。煉瓦作りに屋根は深緑色。城の出入口と道の間に川があり、中に入る時は城の者の証、又は許可証を門番に提示すれば中に入れてくれるといった、有りがちな仕組みだ。]
…と私は小説に書いた。実際の城はもうその通り。
ウィンは証明書を門番に見せてから
「彼女は訳ありで城に入る事になった。通してやれ。」
と指示した。門番は証明書を確認してから振り返り手をあげた。すると、橋が降りてきて私達を導いた。
そこでウィンと兵士が別行動をして、兵士は訓練。ウィンと私は皇帝陛下にお話をするらしい。
…自分が考えたとはいえ、やっぱなんか緊張する…。
皇帝陛下のいる所の門が開かれる。