奈央と出会えたから。<345>

麻呂  2009-04-09投稿
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その時、聖人の拳が森宮の顔の直ぐ横をすり抜け、



その後ろの、選挙用ポスター等を貼る為に設置してある、木製の掲示板をぶち抜いた。



『やべぇ‥‥。手元が狂っちまったゼ。』



聖人が、ポキッ‥ポキッと指を鳴らしながら、直ぐ目の前の森宮に、じりじりと詰め寄る。



『ヒッ‥‥ヒイィィィ‥‥‥‥‥。』



小さく悲鳴を漏らした森宮は、静かに小刻みに震えだし、



その体は、蛇に睨まれた蛙の様に、じっと身動きも取れずに固まったままだったが、



わずかに動いた足だけは、ゆっくりと後ずさりし始めた。



『テメェの頭は、女とヤるコトしか考えられねぇのか?!』


じり‥じり‥‥じり―ー‐



『ヒィッ‥な、なんだよ、北岡。

ぼ、僕が強引に女のコを誘ってるワケじゃないよッッ!!

女のコの方から、僕に近寄って来るんじゃないかッ!!

近寄って来るコは、僕のコトが大好きで、僕と付き合いたいと思っているコ達ばかりだ。

だから僕は近寄って来るコ、全てを拒まず、受け入れているだけだ。

これって、僕の優しさサ。

だから、感謝こそされても、恨まれる覚えは無いのサ。』



森宮は、恐怖心からか、怯えた目は虚ろで焦点が定まらず、


口元は、締まりが無く、パクパクとしどろもどろに、言い訳がましい言葉を発し続けていた。



最早、森宮の顔は、イケメンと呼ぶには程遠かった。



『おい森宮。クサの栽培を、成沢カズミにやらせてるのも、お前だな?!』



ガシッッ――



聖人は、森宮の胸ぐらに掴み付いた。



聖人に鋭い瞳で睨まれ、怯えている森宮には、その視線から目を逸らすコトは、多分もう出来なかっただろう。



『た‥確かにカズミと付き合っていたトキは、クサの栽培をやらせていたよ。

でも今は、もうカズミとは関係無いよ。
もし、カズミが今もクサの栽培をやっているのなら、それは僕の指示じゃない。
アイツが勝手にやっているコトなんだ。
だから、これからもしカズミが何か問題を起こす様なコトがあっても、僕とは全く無関係なのサ。』


森宮は、必死に成沢さんとの関係を否定していた。

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