あたしは、このトキ、何故か成沢さんが気の毒だと思ってしまった。
同情?!
確かに成沢さんは、森宮が付き合っているたくさんの女のコ達の中の1人だったかもしれない。
でも、こんな言いぐさは、信じられないって思った。
それは、
自分の身が一番可愛いだけの目の前の男の、情けない姿に対しての嫌悪感とも似ている感情だった。
『ヘッ。テメェは、自分の身を守るコトが1番大事なんだな?!
情けねーヤツ。
テメェに泣かされた女は、一体何人いると思ってるんだ?!
その女達に、テメェの今の情けねー姿を見せてやりたいゼ?!
もちろん、秋田谷にもな。』
聖人がわざとパンチを外したコトを、
森宮は分かっている筈。
なのに、さっきから聖人に対してビクビクしていながらも、
反論してくる森宮の、そのふてぶてしい態度からは、決して反省の色は伺えなかった。
『さっきから、成沢とか秋田谷とか‥‥。北岡君、いい加減にしてくれよ?!
君は一体何が言いたいの?!
僕にどうしろと言うの?!
むしろ僕は、感謝されるべきだと思っているんだけど?!
だって、そうでしょ?!
世界一美しい、この僕とセックスしたくてうずうずしている、盛りのついた雌豚どもの相手をしてやっているんだからね?!』