私の電話に出た一安。
「もう、かけてくんなよ。お前が連絡取らないって言ったんだろ」
当たり前だが、一安は怒っていた。
一安はそのまま電話を切った。
私はかけ直す事ができず、自分勝手な行動を反省した。
そしてもうすぐ、バレンタインデーが近づいていた。
バレンタインデーと一安の誕生日は、同じ日だった。
だから私は何と無く、一安に逢える気がしていた。
二月十一日、その日私はチョコを作った。
チョコを作り終た頃には、すっかり陽もくれていた。
私は、自分の部屋で一安からの電話を待っていた。
【何と無く連絡がくる気がする】
ただそれだけの理由で、私は携帯電話を見つめていた。
21時を過ぎた頃、私の携帯が鳴った。
携帯の画面に表示された名前は【一安】。
私は急いで通話ボタンを押した。
「はい」
私はドキドキしていた。
「お前さ、今日海連れてってやろっか?」
一安の突然の誘い。
「うん」
私は、今日一安に「やり直したい」と言うつもりだった。
「じゃぁ、今から迎えに行くから」
そう言って一安は、電話を切った。
私は、今日作ったチョコを持ち、急いで家の外に出た。
5分も経たずに、一安が私を迎えに来た。
そして一安は私を車に乗せると、海に向かって車を走らせた。