休み時間の学食ほど憂鬱な場所は無い。
皆意味も無く一つのテーブルをキープするくせ、いざ食べ物を前にすれば
「頂きます」
を最後にそれぞれ無言で空腹を満たす事に専念する。
こんな風だから,いつも一人の星野伸二は,学食では座る場所に困る。
ならば学食を利用しなければ良いのだが、今日に限って,母が風邪を引いて弁当を作ってくれなかった為仕方無く今に至っている訳だ。
…よく意味も無く戯れてられるな…
伸二は学食を一瞥して,そこの連中に対して軽蔑を込めて言った。
…無論心の中でだか…
おもむろに財布から300円を出し,カレーライスの食券に手を伸ばそうとしたその時,
「星野君。」
という聞き慣れた声が耳に入った。