こんな所にいちゃあイケないんだと僕は思ってたんだ」
「…」
手鏡と…
オカルト雑誌の切り抜きを見つめるオジサン。
「知らない方が…
良かった?」
「イヤ、知るべきだよ」
「でも、ショックを受けたでしょう?」
「まあね。でもいつかはね、だれでも…
その時を迎える。
どう言う形になるか、分からないけどね。
その時になったら、素直に状況を受け止めなくちゃならない」
「何だか…切ないね?」
「運命だからネェ」
と、言いつつも…
オジサン…
やはり、どこか寂しそうだった。
日が沈みつつあった。
「僕ももう、帰るよ」
「そうかい。ちゃんと教えてくれて、ありがとう」
「これから、どうするの?」
「家族が待ってくれていると思うからね。
家族の所へ行くよ」
オジサンは笑顔だ。
「それがイイね?」
オジサンはこの後…
一条の光に包まれて、天に上って行った。
昔から、このボランティアをやっていたオジサンは…
3年前にこの場所でクルマに轢かれて亡くなっちゃったんだ。
オジサンもやっと…
成仏出来ると思う。
僕はそう祈りながら…
僕自身が死んだ場所へ帰った。
僕も成仏しようっと。