海に向かっている車の中で、私は一安に聞いた。
「なんで、いきなり海連れてってくれようと、思ったの?」
私は本当に一安の行動の理由が解らなかった。
「別に、何と無く。お前、海好きだろ」
一安は、本当の理由を言えない時は、よくそういう言葉の返し方をする。
「そうなんだ」
私は特に追求はしない。
車を走らせてから、一時間半位経った頃要約海に着いた。
一安は車を止めた。
一安と私は車から降りると、波打際まで歩いた。
そうして波打際で10分位話しをして、車に戻ろうとした時、一安が
「寒いだろ」
そう言って、自分が着ていた黒いパーカーを、私に手渡した。
私はただ微笑んでいた。
車に戻ると、私が作ったチョコを一安が食べた。
「微妙だな」
一安は嬉しそうに、そう言った。
チョコを食べ終わると、一安は私の家に向かい車を走らせた。
帰りの車の中も、二人の笑い声が絶える事はなかった。
そしてまた一時間半かけ、私の家の側まで到着した。
家の側で一旦車を停めて、二人は少し話しをした。
そんな中私は、「やり直したい」と言うタイミングを、待っていた。
しばらくすると、二人の会話に沈黙ができた。
今しかない。
私は心を決めた。
「あゆ、一安とやり直したい」