あしたなんていらないから?

あめの  2006-07-11投稿
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『おねぼうさん。』



クスクスと笑っている。

なんだ。


もう来てたんだ。



少しガッカリしたような、なんだろう。


また昨日と同じじゃないか。



『目、覚めた?』
『おかげでしっかり目覚めたよ。』


僕はわらって答えた。



『今日はさ、風強いね。』



足をぷらぷらさせている彼女に向かって、僕は何気なく話題をもちかけた。


『うん。風邪、引かないようにね。』
『わ、わかってるよ。』


また鼻水が出ているのかと思って
僕は急いで鼻を拭いた。


『でてないから平気。』


クスクス笑いながら、彼女はまだ足をぷらぷらさせている。



なんか悔しい。
位置的なものもあるけど、なんか見下されてる気がする。



ちぇっ…



いじけながらうつむいていたら、聞くべきことを思い出した。
『あっ!』


僕がいきなり叫んだせいか、彼女はびっくりした顔をして、

『なに?』

と答えた。



『あ、あのさ。やっぱり、自己紹介してもらえないかな。』



僕がおどおどしながら聞くと、彼女は苦笑いをしてから



『昨日だったら教えてあげたんだけどなぁ。』


と、いじわるく言った後でやっぱりにこりと泣いてるように笑った。


『ごめんね。』

『ん。へいき。』


僕はあまり気にしてないように返事をしておいた。



その時、風がビュゥっと吹いた。


彼女は足をぷらぷらさせている。


『あ。』
『ん?』



ブワッと風が彼女の髪をなびかせる。

1本1本が綺麗にキラキラと光っているように見えた。


綺麗すぎて、僕は困った。


そして、風はもう一度僕を困らせた。



『すごい風だったね…』


言いかけたその時だった。


風はもう一度強く吹いた。

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