「うわわ、はぁはぁはぁ」
男は叫び過ぎて疲れ果てた顔をしている。しかし、叫ぶのも無理はない。
何故なら男は赤く染まっていたからである。
赤い服を着ているからではない。
赤い髪をしているからでもない。
男の体が赤いドロッとした物に包まれている。
「んだよ、うっせーな。人がいい気分でいたっつーのによぉ」
男は急に喋りだした。もう一人の男はビックリして、「だ、だって、血、血が」
呂律が回らなくなっている「はぁ?血?ああ、これは血じゃねぇよ。ほれ、これだ」
男は何かを投げた。
なんとそれは、ケチャップの袋であった。
「は、はぁ?ケ、ケチャップゥ?」
「そ。」
二人の男は、一瞬見合って後に笑いあった。
「な、何ですかケチャップって。マジでビビりましたよ」
軽く涙目の気弱そうな男とそんな様子を見て、爆笑する赤い男。
そこに一人の男が迫りつつあった。
「ははは、お前面白ぇよ」
「笑い事じゃないっすよ。ところで何でそんな赤い格好してるんすか?」
気弱そうながらも自分をしっかり持っているらしく、そんな素朴な疑問を投げ掛ける。
「あん?理由?んなもん必要ねぇよ。ただ好きだから、気に入ったから、それだけ。強いて言うなら闘争本能かきたてられんだろ」
「・・・・・・・・・」
そんな下らない会話をしている時。影が動いていた。「ターゲット発見。食品街レストランモールにいる。至急集え。」