「…セイントクロス……て、何?」
ウィンは目を真ん丸にするほど驚き、
「私の名前はズバリと当てたのに、聖なる十字架(セイントクロス)を知らないのか!?」
(だって…設定してないもん…。)
ウィンが言うには、聖なる十字架(セイントクロス)を知らない人はいない程有名らしい。
聞くと、聖なる十字架(セイントクロス)はその昔、賢者達がこの世界を守るさい、力をさらに強める為に作られたのがこの聖なる十字架(セイントクロス)らしい…。聖なる十字架(セイントクロス)は代々、賢者の血を最も強く持つ者が持てるらしい。
「…え?じゃあ、私が賢者の血を…?」
さらに、ありえない!私は考えただけだし、だいたい、聖なる十字架(セイントクロス)なんて知らないし。
「…なるほど…。それなら、名前を当てた理由が納得できる…。改めて、賢者の力の強さを知った。」
…。いや、全然違うし…。おもいっきり勘違いだよ?
「リクさん、あなたが賢者の血を持つみたいですが…覚えておいでですか…?」
「私、賢者の血なんかないよ!…賢者は…確かに考えたケド…。」
そう、考えたは考えた。だが、賢者達は世界を守る事はせず、人々の病を直したり怪我を直したりするのだ。ただ、それだけで世界を守るとかそんなんではない。
ウィンは少し残念そうな顔をしたが、すぐに微笑んだ。
「まぁ…焦らず、ゆっくり思い出せばいいですよ。…あぁ…。リクさん。
こちらが貴女の部屋です。自由に使ってかまわないと、皇帝陛下がおっしゃっておりました。
[ウィンの世界では、記憶を喰う者に記憶を喰われた者は、皇帝陛下が用意してくださった部屋を、少しの間借りる事が出来るのだ。]
と書いて…はい、まったく設定通り。一部除いて。
私は、恐る恐る足を踏み入れる。王宮でしばらく寝泊まりだなんて…。すごい…。
「…必要な時以外は、決してでないこと。大人しくするように。では…。」
と言い残し、ウィンはドアを閉めた。
そして、よくよく考える…。
(これって…記憶喪失扱いされて…病院で入院するようなもの…だよね…?)
…なんか…あまり嬉しくない…。
とにかく、いろんな事があった私はシャワーを浴び、すぐに寝入ってしまった。