汚染 70

ふく  2009-04-11投稿
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時計は一時を回った
『そろそろ出ようか』
そして店を出た
勿論貴方も帰れないから暗黙の了解で職場の近くのビジネスホテルへ向かった

風が冷たい
だけど温かい
腕が触れ合う
その時貴方が私の腕を掴んだ
腕を組む貴方に
『普通逆ですよ』と貴方の腕に手を回した
貴方の手が私の手に重なる
初めて貴方と手を繋いだ

もっと前にこうしたかった
前貴方が『好きな人がいる』と私に打ち明けたから出来なかった
あの時の傷を忘れた
貴方が願いを叶えてくれたから
温かくて大きな手に想いを重ねた

『やっぱりね』
貴方が呟いた
どんな思いを含めた言葉かは分からない
聞かなかった
聞く必要もない
一人想像した
『手を繋いだら好きになる』と貴方が言っていた事を思い出した
だからそうであって欲しいと思った
貴方が見つめている人がいると知ってはいるけれど今隣にいるのは私だから

見つめ合った瞳に貴方の気持ちを見付けた
動き始めた想いに気付いた

あんなに忘れようと
諦めようと決めたのに
どうしようもなく途方に暮れ占いにまで手を伸ばし助言を受けたのに
私の決意も音を立てて崩れ落ちた

貴方の手に繋がれた私の手は嘘は付かない
貴方が好きだと言っている
貴方に触れていたいと
貴方がいないと駄目だと言っている

幸せを感じながら繋いだ手を少し揺らした

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