汚染 71

ふく  2009-04-11投稿
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ホテルに着いて手を離した
寂しかった

フロントで
『ツインですか』と聞かれた時貴方は黙った
きっと一緒にいたかったのだろう
『別々の部屋で』と私が答えた
本当は私も一緒にいたい
でも貴方は独りではないから
仕方のない選択

二人で七階まで上がり部屋の前で別れた
隣の部屋
隣にいると感じながら眠ればきっと寂しくなんかない

後ろめたい表情で貴方が部屋のドアを閉めた

分かっていた
予感はしていた
必ず貴方は電話をかけてくる
ベッドに座り携帯を手にした
ほらね
やっぱり電話が鳴った
待ち構えていたのがバレそうだったから少し間を置いて電話を取った
『どうしました?』
そう白々しく言うと
『寂しくなって電話した』
相変わらず狡いと思いながらも愛おしさが込み上げた
私はとことん弱い
どうしようもない位に私は意志が弱い
『後でそっちに行きます』
そう言うと貴方が安心した声で『分かった』と言った

貴方の部屋に行けばどうなるかは分かっている
もうどうなってしまってもいい
ルール違反
掟破り
どんな最低な言葉も当て嵌まる
『本当にそれでいいのか』と自分に問い掛ける
答えなんて決まっている
それはイエスでしかない

緊張が埋め尽くす
深呼吸を一つして部屋を出た

貴方の部屋の前で電話をかけた
『開けて下さい』
貴方の部屋のドアが開く
貴方の顔が目に飛び込んで来る
後戻りの出来ない世界へと足を踏み入れた

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