町に戻ると、ちょうど下校時間くらいだった。
見たことのある顔と時々すれちがいながらも、お互いが関わらないように、目線を合わせることなくすれ違う。
しかし、今日は違った。里西がいるからだ。
同級生だけでなく先輩、後輩の奴らも里西に話しかけてくる。
里西は常に笑顔で対応している。
やっと人の波を抜けた。
登「あんたってほんと人気者やね!」
里「人気者かぁ〜そう見えるんかね?ほんとに仲良い奴なんて1人もおらん気がするけど」
成「………………」
里西がぼやいたのをしっかり聞いていたが、言葉がでなかった。
登美雄も思ったことは同じだろう。
成「この辺でよくね〜?」
登「よし!!滑るや!!」
海沿いの道をまっすぐ歩くと長い急斜面の坂があり、それを登り切ると全く車通りのない、静かな道路にでる。
俺たちはそこを"縄張り"にすることした。
頭の中には、さっき見た映像の中の少年たちが染み着いている。
左足を板に乗せる…
右足を地面から離すことができない………
恐怖心。
頭の中のイメージが消えかけていた。
そう感じるのと同時に、思いっきり右足で地面を蹴った。
大転倒。
右肘から地面に落ち、痛みが全身に流れ、もがいた。