永遠-Prologue-

LL=  2009-04-11投稿
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雨の日‥‥。

雨音しか聞こえない静かな教会で、彼女は一人膝をついた。


「私はどこにいるのでしょ?」


雨の音にさえ掻き消されそうな、掠れた声で彼女は言う。


《お前は、そこにいるよ!》


俺はその問いに精一杯返答する。


「私はなぜ独りなのでしょう?」


《お前は独りなんかじゃない! 俺が‥俺がずっと側にいるっ!》


「なぜ、私はこうも不幸なのでしょう?」


《‥‥なんで、、》


「なぜ、私はこうも蔑まれるのでしょう?」


《なんで、、届かないんだ‥》


雨の音にさえ掻き消されそうな声は、けれど、掻き消されず‥


精一杯絞り出した声は、けれど、彼女はおろか、この世の内に届かない。


「なぜ、私は、こうも‥‥」


淡々と語っていた彼女の瞳から一筋の涙が零れた。


「なぜ、なぜ、‥‥」


何かに懇願するように両手を胸の前で組み、色の映らない瞳は無色の涙で溢れていた。


《お前は悪くない。全てお前が抱え込むものじゃない!》

《‥‥全部俺のせいなのに…なんで、お前はそうまでして俺を庇うんだ! 俺は…その涙さえ拭ってやることができないのに‥‥》


そっと、彼女の頬に伸ばした手は、涙を掠めることはなく‥

頬を撫でることもなく‥

ただ、ただ、通り抜けるだけだった。



《あぁ‥どうしたら、、》


「あぁ‥どうして、、」





− この心を苦めなくてすむだろう −






目の前にいる俺の姿は、けれど、彼女の瞳にはおろか、淡い蝋燭の炎にすら、その影を映しはしなかった。



それは、縮まることのない、《永遠》という距離が生んだ、悲しい愛の物語。



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