貴方の隣に座った
二人じゃなくてもどうせ私は貴方しか見えない
貴方が左側にいて
私が貴方の右側にいる
離れてからそんなに経っていないのにこの位置が何だか懐かしい
『君の隣は居心地が良かった』
あの一言を思い出す
やっぱり私も貴方の隣がいい
この安心感も居心地の良さも
きっとずっと感じる
たまにこうして貴方の隣にいれるのなら
それが私の幸せ
店を出た後はどうにか二人になる様に頑張った
少し無理もあったけど何とか作戦は成功した
だけどいざ二人になってしまうとさっきまでの私ではなくなる
貴方をバス停まで送り届ければこの時間は終わるのに
何を話そうか焦るだけ
ただ貴方がまた手を繋いでくれるか試したかっただけ
『ちょっと来て』
と貴方が私の右手を掴んだ
突然の不意打ちに驚いた
簡単に繋がれてしまった
『何ですか』
不思議そうに貴方の顔を見上げる私に『またデートしようね』と笑った
不意打ちが多過ぎて動揺する
一体私は貴方の何なのだろう
連れて行かれたのは可愛らしいパスタのお店
きっと以前に誰かと来たのだろう
『今度は此処に来よう』
『良いお店ですね』
気にかかった事は胸の奥にしまった
いつ来れるかは分からないけど
出来た貴方との一つの約束
はかない未来だと分かっているからそれがすごく大切な事の様に思える
バス停まで送り別れの時が来る
また明日会える
少し我慢して朝が来れば寂しさは消える
『今日はありがとうございました』とお礼を言って手を離した
『金曜の昼、一緒に飯行こう』と貴方が残した
今日三度目の不意打ちと
二度目の約束
頷いて手を振った
貴方ももしかしたら私へと向いてくれているのかもしれない
だってちゃんと今日も手を繋いでくれた