僕は小学校六年生で初めて年下の女の子に恋をした。自分の父親も母親と年齢が四歳離れてる事から僕が一つ年下の女の子を好きになるのはおかしい事ではないんだろうけどその時は皆から“ロリコン”とかからかわれそうな気がしたし、なにせ小学生で年下を好きになるのはおかしい事だと自分の中ではそういう固定観念があった。
きっかけは入った委員会だった。僕の小学校では五年生から委員会に入る事が規定されていた。五年生の時は掲示委員会に入ってたが六年生の時は静香ちゃんとなっちゃんと一緒に保健委員会に入った。そして、僕らに加えて五年生が男女二名づついて計七名で一年間保健委員としての仕事をする事になった。最初の委員会で委員長は静香ちゃんがする事に決まった。
保健委員の仕事は主に健康にまつわる事をテーマにとり上げて皆で調べて月に一度発表する事だった。僕以外の委員は昼休みや放課後を使って図面を描いたりして作業をしていたのだが面倒臭がりな僕はよくサボっていた。そういう事もあってか五年生からは白い目で見られており、そのせいもあってか五年生とはあまり会話もしなかった。だけど気づいたら僕は一つ年下の“美香”に恋心を抱いていた。
美香は僕が六年生になった春に大阪から転校してきた。“関西弁でよくしゃべってさばさばした女の子だ”と親しくしてた直哉から聞いていた。それと、スポーツは万能だけど勉強は全然ダメだとも耳にした。確かに委員会で話し合ってる時でも五年生同士でよくしゃべっていた。けど、僕には仕事上の事以外はほとんどしゃべりかけてこなかった。また、僕自身もしゃべりかけなかった。 僕が美香に対して持った第一印象はタレ目で関西弁をしゃべる女の子という印象しかなかった。後、発育が良かったせいか胸が大きかった。別に胸が大きいからといって決して好きになった訳じゃない。いつ頃だろう?恋愛感情に気づいたのは秋の風が吹き出した九月の後半の頃だったと思う。何に引かれて好きになったかは今、現在も分からない。ほとんど会話をする事もなかったし、特別すごくかわいいとか美人とも違って見た目も普通の女の子だった。だけど、気づいたら好きになっていた。恋とはそういうものだ。顔がいいからとか頭がいいからとか人それぞれ理想は持ってるだろうけど人を好きになる事に理由なんてない。いつの間にか恋心を抱いて好きになってるものだ。