最近、僕はびくびく過ごしていた。何故かと言うとあの日、結局加奈達の勢いに負けて気の弱い僕は“同じ保健委員会で五年生の“新谷美香”が好きだ”と加奈達にカミングアウトした。てっきり、智美を好きだと思い込んでいた加奈は一瞬あんぐり口を開けて言葉を失っていた。他の二人も同じように驚いた様子だった。なんて声をかけたらいいか分からず言葉を探してる様子だった。やはり、小学生で年下を好きになるのは普通じゃないのかと思った。最初に口を開いたのは大介だった。
「健治、本気なのか?」
大介の問いに僕は無言で頷いた。大介の声によって正気を取り戻したように、「まさか年下が好きだったとはね」
「ほんと!予想外」
落ち着きを取り戻した二人は口を揃えて言った。大介も、
「俺もてっきり健治は智美が好きだと思ってたからかなり驚いてるよ」
と、僕の顔をまじまじと見つめながら大介は言った。 最初にも前途したとうり男性が年下の女性を好きになる事は決しておかしいとは思わない。逆もまたしかりだ。ただ小学生で年下を好きになるのはやはり異例の事のように思えて自分がおかしいのかなと不安になった。
「仲はどうなの?」
優衣ちゃんが顔色の変わった僕に話しかけてきた。
「正直、全然良くない。だってしゃべらないもん」
「会話なしかよ!」
「ダメじゃん」
「だってさ、何しゃべっていいか分かんないんだもん!」
「自意識過剰になってんじゃないの?あたし達と話すように話したらいいじゃん」
「健治君、本気で恋してんだねぇ」
皆、言いたい口々に好き放言った。
三人には“絶対、秘密だよ!誰にも言ったらダメだよ”と、念を押すと笑いながら、
「大丈夫だよ。秘密にしとくから」
「ここだけの話しって事で」「健治君は心配性なんだね。あたしは頭が固いから絶対言わない」
「それを言うなら頭じゃなくて口だろ」
「あっ、そうそう口ね」
優衣ちゃんが笑いながら僕の肩をポンポンと叩いた。「自分達はどうなの?好きな奴やっぱいるだろ?俺の予想では優衣ちゃんは“龍太郎”の事が好きなんじゃないかって思ってんだけどさ」
「うん、俺もそんな感じがしてた」
「どうしてそう思うの?」
「なんとなくだよ。素振りとか行動を見てて」
「ふぅん、素振りねぇ」
「とにかく二人は誰が好きなの?俺も教えたんだから言えよ」
そう言うと二人は顔を見合わせてから、
「ひ・み・そ」と言った。