非常階段の近くまで来た
いつもすでにみんな溜まっている時は
近くまで来るとみんなの喋る声や笑い声が聞こえてくるが、今は聞こえてこない。
他の奴らはみんな授業に出てるか
もしくはまだ来てないかで誰もいない、という事だ。
(一人じゃつまんねーけどまぁ、今から授業でるよりマシかな
まだ眠いし
寝て時間でも潰すかな)
キー キキッ
非常階段の
少しさびついた鉄のドアを開ける
やっぱりこの時間は誰も居ない
シーンと静かな空気と
夏の暑い空気とが交わるその空間の中
オレは階段の一段目の所に腰をおろし
家から、開けたまま持ってきた、生ぬるくなったコーヒーを飲み
「しっかし、あちーなー」一人で小言を言いながら
階段になっていない所に座り直し
鞄を枕の変わりにするため、頭がくる位置に置き
仰向けになった
上を向いた瞬間
オレは思わず驚いて
ガバッっと上半身を起こした!
「藤本昌平君!」
上へと続く階段の
オレの丁度真上あたりの階段の隙間から、オレを見ながら声をかけてきた女
そう
晶である・・!