C美は人からよく物を頼まれた。
「これコピーとって」
「そこに運んでくれる?」
「誰か紹介してよ」
「車で迎えに来て」
C美はいつも頷いて頼み事を引き受けていた。
いつしか友達ですら頼み事の用事がないとメールすら送ってこなくなった。
C美は悩んだ。
私はみんなの都合のいい便利屋でしかないのかしら…。
そんな時メールが届いた。
“C美元気〜?
今日はC美の誕生日だね”
アドレスは見たこともないものだった。
C美は誰かアドレス変えたのかなと思いメールを返した。
“ありがとう。
メールアドレスが変わってるみたいで誰かわからないから教えてもらっていいかな?”
すぐに返事は来た。
“わからない?いつもC美にお世話になってるよ”
C美は考えてメールをした。
“G子ちゃん?”
携帯が鳴る。
“よく考えて”
C美は困った。
『よく考えたら私の誕生日にメールくれる友達…誰も思い付かない…』
携帯がさらに鳴る。
“今から会いに行くから”
C美は気持ち悪くなり無視をした。
しばらくして携帯がまた鳴る。
“もうすぐ家につくから”
C美はぎょっとした。
さらに携帯は鳴る。
“今家の前”
C美は幼い頃聞いた怖い話を思い出していた。
幽霊が言葉と共にどんどん近づいて来て最後は連れていかれる。そしてまさに今、自分はその状態にあった。
携帯が光る。
“今部屋の前”
C美はガタガタ震え出した。心臓はバクバクし汗が吹き出して来た。
ドアノブがゆっくり回る。
ガチャ
「C美!!いつもありがとう!!!お誕生日おめでとう!!!」
たくさんのC美の友達がそこにはいた。
C美は白目をむいて倒れていた。