レースの参加登録チーム数は最終的に53チームであった。
参加者には、代表者宛に赤色のバッチが送られてきた。そしてレースのスタートの場所と集合時間の書かれた用紙が同封してあった。
チーム全員、左胸にバッチを付ける事が義務付けられた。今まで、具体的な指示が出されなかった謎のレースに初めて現実感が出てきた。
集合場所は、某県の外れで随分寂しい所だった。そこは、有名な心霊スポットでもあり、車でドライブがてら肝試しをする若者がよく訪れる。峠のドライブインだった。
ドライブインといっても、トイレと自販機が数台あるだけの広めの駐車場という感じだ。昼間は小さな売店と土産物屋が数軒開いている。それでもたっぷりと車二百台は停められるスペースがある。要するにかなりの田舎だということだ。
この場所で、間もなく世紀の公道レースが開かれる。
優勝賞金3億円。謎の多いレースだが、それ以上に魅力的だった。
孤高の天才デブのシンジ。スーパーアイドルのタクヤ。絶世の美女アヤ。体力抜群のケイン。したたかに世の中を渡るオカマのイッコー。潜入捜査の危険な刑事達。ハローワークで知り合った遼一達。そして走り屋と暴走族。
それぞれの想いが、間もなく交錯する。