たった今、目に涙を浮かべていた筈の森宮が、今度は何を言いたいのか、あたしの話題にすり替えた。
『ねぇ‥‥君さぁ、小6で妊娠して、コドモを堕胎したんだってね?!
でサ、その相手って、義理の父親なんだってね?!』
な‥何‥‥?!
何でそんなコト知ってるの?!
森宮は、あたしに向かって更に話し続けた。
『純情そうな顔して、やるコトやってるんだね?!
僕と同じ匂いがする!!
ねぇ、僕達気が合いそうだね?!
奈央ちゃん♪』
森宮が、あたしに、ニッコリと微笑み掛ける。
やだ‥‥‥。
あなたとあたしは同じじゃないっっ!!
やめてっっ!!
一緒にしないでっっ!!
そのトキだった――
ドスッッ―ー‐
聖人の右ストレート――
左フック――
辺りに響いた鈍い音とともに、
目の前の森宮が、一瞬にしてその場に崩れ落ちた。
それは――
あたしが初めて――
聖人が先に手を出したのを見た瞬間だった――
その場に崩れ落ちたモノを――
ただ――
冷たい瞳で見つめるあなたの姿に――
あたしは――
ただ立ち尽くしてしまい――
何も言えないままで――
『やめてえぇぇ―――――ッッ!!』