時が止まるってこんな感じなのかと思うぐらい大倉の手は私の心をつかんではなさなかった。
そしてつぶっていた目をあけ、真っ直ぐに私をみる。息を飲むのもやっとなくらい動けないでいた。
「知夏、時間だぞ」
久遠の声で我に返った。
ん?知夏?呼びすて?
でも声は久遠?
「私、いかなきゃ」
逃げるようにその場を立ち上がると、久遠が迎えにきた。
なんだか怒ってる顔で大倉に対しては無視だった。
「バイバイ、知夏ちゃん」
大倉は笑って手をふる。
久遠は私の手をつかんで歩きだした。
私は大倉に軽く会釈して、久遠に引っ張られるように歩き出した。
しばらく歩いて私は久遠に
「久遠、痛いよ」
と、手を振り切った。
「遅いからだ」
なんだか怒ってる久遠に私は理解不能。
班に戻ると私と久遠の険悪な雰囲気に桜が心配して、帰りはずっと側にいてくれた。
久遠を心配してるのか、樋口君はずっと久遠のそばにいた。
学校に無事到着して、先生から話を聞いてすぐ解散という形になった。
私は教室に忘れ物をして、とりに戻ることにした。
下駄箱で桜と理沙が待ってくれていた。
急いで戻ろうとした時、
「前田」
と久遠に呼び止められた。