マルシアたちが知らぬ間に、エルファのキディへの虐待が始まっているのだ。
キディはこの後ずっと、素っ裸のまま過ごす。
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後日…
マルシアとジャックはボックル会長の元を訪れた。
スザンヌやガーレットも出席して話し合いを始める。
ボックルはスザンヌから提出されていた報告書を見ながら口を開いた。
「話しは聞いたぞジャック、母親人形からの聞き取りは難しかったようじゃのぅ?」
ジャックはもう…
お手上げだと言うさえない表情で語る。
「自分の殺してしまった事をも、認めようとしないから困ったもんです」
「ホント、困ったものじゃのぅ」
マルシアが尋ねる。
「会長さん、どうしたらイイんでしょうか?」
「スザンヌ主任、説明してくれんかのぅ」
「もう一度、エルファと面会して説得を続けたいと思うのですが」
「そりゃあ無理だ」と、ジャックは捨て台詞。
ジッとジャックを見るスザンヌ。
「無理ですか?」
マルシアが答える。
「まともに人の話しを聞かないエルファが、説得に耳を傾けるでしょうか? かえって時間の無駄だと思いますが…」
ジッと書類を見つめるスザンヌ。
ゆっくりと、説明を始めた。
「でしたら…、最終手段を選ぶまでですネェ」
「最終手段?」
最終手段…
ボックルは腕を組み、ジッと目を閉じたまま耳を傾けていた。
「エルファの、人形児童養育権を取り消してしまうのです」
「もし、そうすれば?」
「母親としての権利を失い、子供を全て手放さなければならない状態になります。エルファは…
子供に触れ合うどころか、子供の顔さえ見る事が出来なくなるのです」
「子供たちは、どうなります?」
「人形協会傘下の人形養育施設に引き取られます。徹底した管理下で…
再教育を施すのです」
「その後は?」
「里親を募集して、それぞれに引き取って頂く事になるでしょう」
ジャックはうなずく。
「その方がイイかも」
「だけど、エルファが素直に受け入れるかどうかが不安ね?」
マルシアの思いだ。
ボックルが言う。
「ワシらの命令は絶対じゃ。どんな理由があっても拒否する事は出来ん」