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ルイス・サイファー  2009-04-15投稿
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おれは兵隊。
しがない兵隊。
デカい組織の偉大な主に支えちゃいるが、ペーペーの下っ端。
だが組織と仕事、主に対しての責任感、熱意、敬意は誰にも負けないと自負している。


そんなおれに、主は直直に任務を与えてくれた。

任務の内容は、ある集団への潜入捜査。

実態を調べ、その行動内容を報告する事。
そして善へと導く事。

喜んで引き受けた。
主直直の命令だ。嬉しくてな。


おれが潜入した集団は、混沌としていた。

善人も悪党も存在し、善くも悪くもあり、またどちらでも無く、どちらにでも傾く可能性を持っていた。

任務を続けていたある日、ある存在との出会いがあった。

それは若く美しい女だった。

心を惹かれ、目を奪われた。

同時におれを苦悩させた。

調査対象と関係を持つ事は御法度。
全てを奪われて追放って制裁が待っている。

組織と任務、主に対する忠誠。

美しい女に対する抑えがたい感情。

おれの魂の天秤は大きく揺れ、そして片方に倒れ落ちた。

おれは女を抱いた。
おれの行動がすぐに組織にバレちまうのも承知で。
おれはその女に夢中になっちまっていた。
やがて子供ができても、後悔はなかった。

そして案の定、組織からの警告が届いた。
使者の親友の言葉に動揺もしたが、もはやおれの魂は後戻りができなかった。


おれは決意した。

おれは女に、全てを打ち明けた。
自分の正体と任務を。
おれの属する組織の禁じられた情報を。
それからその全てを、他の奴等にも伝えるよう話した。

情報を聞いた集団は、変わり始めた。
善と悪の間で揺れていたバランスは、大きく悪へと傾いた。
多くの魂は荒れすさみ、そして世界は悪意と犯罪に溢れちまった。
おれの魂が悪の闇に傾いたのと同様に。


そして制裁の鎚は振り降ろされた。

おれは組織を永久に追放され、闇に叩き堕とされた。
女を含むその集団は殲滅され、おれの子供もその存在ごと消滅された。

全ての悪意と罪は消え去った。

まるで汚れを洗い流すかのように。

見苦しい物を覆い隠し、上辺を綺麗に取り繕うように。



おれの名はアザゼル。
かつては光の軍団の一員だった。

今は邪悪な情報屋。

闇をさすらい、さ迷っている。

かつての主に殺された愛しい魂を今でも想いながら。

どんな闇の情報でも報酬次第で教えてやるぜ。

さあ、
あんたはなにが知りたい?

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