「今度の休みにねぇ、お父さんとぉ、お母さんとぉ、ディズニーランドに行くんだ!」
「へぇ。でも僕のお父さんなんか、今日家にいるんだぜ!いいだろぉ!」
子供の会話と言うのは、
時に大人の心を貫く。
ディズニーランドに行く事よりも、家に父親がいる事が「幸せ」。
父は1階のトイレでその会話を耳にし、読んでいた新聞の文字がボヤけて見えなかった。
毎日父親が家に帰ってくる家庭が「普通」。
数ヶ月に1度だけ父親が帰ってくる家庭も、子供にとっては「普通」なのである。
姉2人と母に囲まれて生活していた少年にとって唯一の男「父親」は、
「ヒーロー」だった。