電話が鳴った。
「…やっぱり…入院だって…」
「えっ?何で?」
「医者が『炎症』って出たけど、色も形もどう見ても『腫瘍』だって…」
「えぇ〜?それでも『炎症』って検査の結果が出るもんなん?おかしくない?」
「俺もおかしいと思うけど、医者がそう言うんじゃけん…」
「そーなん…」
「今度、精密検査して、入院だって」
「いつ入院するん?」
「まだわからん。検査の結果が出てからだって」
「どしたん!何かのんびりしてない?」
「うん。まぁ命の危険がないけん、そんなに焦った事もないんじゃろう」
「それならいいケド…」
気落ちした法くんを、どう慰めていいのかわからなかったよ…。
「法くん…アタシが側におった方がいい?」
「そりゃおってくれた方がいいに決まっとるよ」
「でもアタシじゃ、親に紹介も出来んじゃろ?アタシ…ずっと側にいたいよ…。毎日でも行きたいよ…」
「……そんなに大変な事じゃないけん…介護とか必要なわけでもないし、ちゃんと連絡するよね」
「そういう事じゃないのに…。アタシと親が会うのがそんなにイヤ?」
「………」
「アタシがバツイチで子持ちじゃけん?」
「…それはある…」
「…わかった…もういいよ」
電話を切った…。
悲しくて、悔しくて、涙が止まらなかった…何が悲しくて…何が悔しいのかもわからないまま…。