私が酔った勢いで一安に電話をしてから、一ヶ月後の朝だった。
その日私は、携帯電話の着信音で目を覚ました。
そして、相手も確認しないまま携帯電話の通話ボタンを押した。
「俺だけど」
一安の声。
「はい」
私は驚き、戸惑った。
「お前か」
一安は、解っていなかったふりをする。
「はい」
私も一安にあわせた。
「お前この番号いつから使ってる?」
一安の、解っていなかったふりは続いていた。
「結構前からじゃないですか」
私は何故か敬語だった。
「ふ〜ん。まぁいいや、お前今日何してんの?」
一安との会話はいつも展開が早い。
「特に何もしてません」
何故か直らない私の敬語。
「じゃぁ、俺と遊べよ」
一安はいつも、強制的に物事を決める。
「なんでですか?」
いつでも、私の意見はないも同然だった。
「理由なんかねーよ。解った?」
「うん」
「じゃぁ、後で電話するから」
そう言って、一安は電話を切った。
その後の電話で、一安は場所と時間を指定してきた。
その頃一安は、仕事の都合で一人暮らしをしていた。
私は時間どうりに、指定された場所に着き、一安からの連絡を待った。
しばらくすると、私の携帯電話に一安から着信がきた。
電話越しに、一安は私に道を説明する。
私は一安の声に従い、歩いて行くと10分位で一安の住むアパートに着いた。