痛い…どこか解らないが
痛む…触れられない…
身体のどこかが痛いので
はない…存在しない何か
が痛む。身体を強く
抱きしめる。子供の
ように怯え、震える。
そうでもしなければ
正気が保てない。
病気かと想い、検査も
受けたが、なにも
異常はなく、原因不明の
ままである。
「…何故だ…周期が
早い…それに…いつも
より痛みが増してる。」
大勢の登校中の高校生の
中に八神真は居る。
つまり、真は高校生、
学年は二年だ。
「また会いましたね。」
真に話しかける一人の
少女…昨日、
音楽室で月光を
弾いていた少女だ。
「何だ…。」
その声は人を突き放す
ように、冷たく張り詰め
ていた。
「相変わらずですね、
そんなんじゃ、敵を
作るだけですよ?」
何とも言えない会話が
そのまま続く中、一人の
人影が近付いていた。
「おーい、八神〜、
誰〜その女子〜。」
明らかに答えるのが
気がない雰囲気で、
「名前を知らない。」
の一言で真はまとめた。
「またまた〜あ…
もしかして彼女とか?
邪魔したかな?」
と茶化す男子…
「…冗談は控えろ、
島原 栄一…
(シマバラ エイイチ)
長生きできないぞ?」
栄一と呼ばれた男子は
怯え、震えながら。
「真、お前だけは
フルネームで呼ぶの
マジで止めて!!
お前に殺される気が
するから!!」
と叫んだ。そして、
そのまま逃げた。
「そんなにしなくても…
ね?」優しく丁寧に
…昨日と同じように
少女は言った。
「…冗談だ。ところで
貴女の名前は?一方的に
知られてるのは気味が
悪い。」二人は互いの眼
を見ていた…。
やがて少女は微笑み、
「私は霧島 楓です。
(キリシマ カエデ)」
と名乗った…。
そして、二人は学校に
向かった…。