君は自分の顔を描く。
今日も鏡の中の自分と睨めっこして、スケッチブックに鉛筆を走らせる。
今日はいつもより順調だ。って思う。何となく、このまま最後まで描けそうな気がする。って思う。
思うよ。
だけど、だけどね。途中で、やっぱり考える。今日も。振り返る。君は君の顔を描きながら、君の今日を思う。
今日も、学校楽しくなかった。って思う。
全、然。楽しくなかった。って思う。
鉛筆を走らせながら、考える。
なんで?って。
自分の鼻を描く。
なんで、あたし。って。
自分の目を描く。
なんで、こんなんなっちゃったんだろ。って。
考える。
考える。
考える。
走ってた鉛筆が、ぎこちなくなって、やがて、静かに止まった。
君は泣く。
握ってた鉛筆が指から滑り落ちて、カランと音を立て、それで君は両手で顔を覆う。
薄暗い部屋に嗚咽が響いた。
いつもの、君の、夕暮れ。
君は笑わなかった。
今日も、一度も笑わなかった。
君は気付いてないけど。