※「君」と「彼女」を意識して読んでくださると嬉しいです。
少し喉も渇いたし、躰も冷えてきたから
どこかで暖まっていこうと駅前をフラついていた時だった…。
―雑踏の中―\r
小さく聞こえる、懐かしいあのピアノの曲が聞こえてきた…。
題名はわからないけど、君がよく弾いていたよね…。
無意識のうちに、
僕はその音色を追い求めていた…。
まるで…君を見つけたかのように…。
このうるさい雑踏の中、かすかに聞こえる、
その小さな小さな綺麗な音色を、見失わないように…。
君を探すかのように歩いていた…。
ふと、気がつくと
ピアノの音色は、僕の眼の前に姿を現していた…。
ビルとビルの間に挟まれて
その小さな喫茶店は、静かに時を刻んでいた…。