君と彼女6

さくら  2009-04-18投稿
閲覧数[162] 良い投票[0] 悪い投票[0]

『えぇー!?って事は26!?見えないけどなぁ〜…。もっと若いと思ってた。で、名前はなんて言うの?』

また僕の肩に手をのせて、横から覗きこんでくる。

『豊(ゆたか)だよ』

諦めてマスターのいる方を向いてしゃべった。

相変わらずカップを拭いて、微笑んでいるいるマスター。


とても穏やかになれた…。

そんな空間だった…。

なんだかんだで
たわいもない話を彼女としていたら、いつしか時計の針も19時を回っていた…。

コーヒーも3杯飲み干してしまった…。

彼女の話を聞いてると、自分も楽しくなれた。

久しぶりに、温かい気持ちになれた…。


『もうこんな時間か…。そろそろ帰るよ。』

『えっ?もう帰っちゃうの?じゃー最後に一曲だけ弾くから、聞いていってよ!』

そう言うと楽譜を手に持ち、足速にピアノに向かって行く彼女だった。

来夢がピアノを弾き始めると同時に鈴の音が鳴り、中年男性が中へと入ってきた。

残念だけど…。

お客さんの為にも、帰るとするかな?

来夢は、僕の事しか見ていなかった…。

客の目線が痛く感じた…。

コーヒー飲みに来る客もいるんだろうけど、

来夢目当ての客がほとんどだと悟ったから…。

カップに少しだけ残っていたコーヒーを飲み干して、僕は席を立った。


『ありがとうございます。』

マスターが伝票を僕に渡す。


会計を済まし、
上着を着て鞄を持つと、僕は店を出る準備をした。

ドアの前でいったん立ち止まり、ピアノを弾いている来夢を見つめた…。

それに気付き、来夢も僕の事を見つめてくる…。

「帰るから」と、口にして僕は店を後にした。

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 さくら 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]
カレが離さない唇★
★人気の魅惑グロス


▲ページトップ