生きることへの不安からか、私はこの頃奇妙な夢を見る。
毎日同じような夢を…。
気付くといつも、真っ白な部屋の中にいる。
その部屋は10畳ほどの広さで、中には何も置かれていない。
本当に何もない空っぽの部屋だ。
唯一あるのは、白いドア。
私はその部屋でしばらくボーッとした後、その白いドアのノブを回して手前に引く。
そうして外に出た瞬間に目が覚める。いつものことだ。
私はこんな夢を毎日繰り返し見るのだ。
そして最近、その夢が毎日変化していることに、私は気がついた。
私の生きる意味が薄れていくのに比例するように、その白い部屋にあるドアが小さくなっているのだ。
そんなある日の晩、私はまたいつもの夢を見た。
いつものように真っ白な部屋にいて、いつものようにしばらくボーッとした。
そしていつものように白いドアを開けて外に出ようとした、が、無理だった。
小さすぎる。
ドアが昨晩より小さくなっている。
幼稚園児がやっと出られるほどの大きさだ。
私は焦った。
この部屋から出る方法はないかと部屋を見渡すが、当然何もない。
このままではこの部屋に閉じ込められたままだ。
早く現実に戻りたい。
でも、現実はドアの向こう側だ。
絶望のあまり私は頭を抱えてしゃがみ込んだ。
このままだと、現実の私はずっと眠っていることになる。
そう言えば、今何時だろうか?会社に行かなくては…。
そこで突然、泣きじゃくる母の声が聞こえた。
「何で、何で死んじゃうのよ」
その直後、部屋が赤色に染まり、私は炎に包まれた。
やがて燃え尽きて、部屋の中に灰が散った。
火葬だ。
私は長い間眠り続け、母か誰かに死んだと勘違いされたのだ。
とにかく私は、
夢の中で死んだ。
そして今私は幽霊となって、現実に戻ることもできず、誰かの夢の中をさ迷っている。
もしお会いした時は、
どうぞよろしく。