あの日から寝顔を見るのが怖くて不安になる…。
あれは実家に引っ越しの荷物を取りにいったときのこと。
父親は寝室で寝ていた。
特に気にもとめず荷造りをする。
荷造りを初めて二時間くらいたったころだろうか、おいていたはずの物が見つからない。
父親に聞こうと思い寝室に行き入り口のところから声をかけた。「おとん、台所においてたやつしらん?」
返事がない。ぐっすり寝ているのだと思った。
しかしよく見ると顔色が悪く口元に血のようなものがついている。
あわてて父親のところへ行き「おとん!」と体を揺すった。
冷たい…。
母親も弟も誰も家にいない。怖くなって思わず外へでた。急いで母親に電話をし救急車を呼んだ。
父親は亡くなっていた。
急性心疾患だったらしぃ。
あまりにも突然のことで頭が整理できず信じられない。
ここのところ父親と仲が悪くちゃんと話したのはいつかわからないくらいだった。
すごく後悔した。今更だけど…。
父親の葬儀。涙が止まらず父親に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
冷たく接してごめん。
親孝行も何もしてあげられなくてごめん。
大事に育ててくれてありがとう…
大切なものは失ってから気づくという。
本当にそうだと思う。でも失ってからじゃ遅すぎる…。
ごめんね。そしてありがとう。
だから人の寝顔を見るとその時のことを思い出し怖くて不安になる。
イビキが聞こえると安心するようになった…