大倉は、昼休みになると六組の教室まできて私を呼び出し、渡り廊下でたわいもない話をする。そんなことが一週間続いた。
おかげでなんとなくどんな人なのかはわかった。
サッカーバカで女好き。
調子がよくていい加減。
でも…まっすぐで素直。
意外と頭もいいらしい。
会話していて飽きない。
「なんで私なの?」
前から思ってた疑問。
大倉って基本的にモテる。
こないだフラれた人もかなり可愛い子だ。
「初めてなんだよ」
「何が?」
「自分から好きって思ったの、外見とかじゃなくて」
最後が失礼なんですけど…
「あのねぇ…簡単に好きとか言う?」
「簡単じゃなくて、マジで」
この調子だからため息でちゃう…
でもどこかそんなまっすぐで素直なとこ、うらやましい気持ちもある。
私は…自分の思いを自分でたちきったから。
「なぁ、知夏?」
いつの間にか呼び捨てになってるし…
「なに?」
「他に好きな奴いるの?」
「なんで?」
図星をさされたみたいで、胸が痛かった。
「…なんとなく、だってこんなに俺頑張ってるのに知夏ちゃん落ちないしさ」
「ほんと俺様」
そう言って私は笑った。
本当はそういうとこ嫌いじゃない