突然の真実

白銀の背骨  2009-04-19投稿
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「はーい、写真撮るから並んでー」
先生の呼び掛けで皆ぞろぞろと列を作っていく。

今私たちは、沖縄にいる。今日はM中学校の修学旅行だった。

そんな時、先生があることに気付いた。
「おい、Nはどうした?」

N、というのは、東京からの転校生…だったはず。
約三年間、一度も話したことがない。
暗い子ではあるが、別にいじめなどはなかったようだ。


そのNが、突如失踪してしまった。



と、思ったら、近くの物影に隠れていた。

「何してるの?皆待ってるよ?」

クラス委員である私は、率先して話しかけた。

「……怖いんだ」
「え?」
「写真に撮られて、命を吸い取られちゃうのが」



「……プッ」


思わず、吹き出してしまった。
「ちょっとそれ、いつの話よ?ていうか思いっ切り
迷信じゃない」


「え?そうなの?」

「そうよ?本気で知らないの?なら説明してあげるわよ。
カメラが日本で使われるようになった時、まだ戦争は終わってなかったの。それで、戦争に出る前の兵隊さんは、まぁまず皆、思い出っていうかなんていうか、何か残したい、って思うでしょ?
で、写真を撮る。そして、沢山の人が死ぬ。
そしたら、そんな変な噂がたっちゃったってわけ。
ただの確率の問題なのにね」


「ふーん…そうなんだ…」

どうやら納得してくれたようだ。



本当は、全部作り話なのだが。
人を納得させるためには、それらしい話を聞かせるのが一番手っ取り早い。


Nが加わり、
皆並びなおす。


「ハイ、チーズ」

カシャッ


フラッシュで、一瞬目の前が真っ白になって……






その次の日、あるニュースが流れた。

「次のニュースです。
沖縄県で、修学旅行で訪れていたM中学校の生徒が、ひとクラス、突然失踪しました。
沖縄県警によると、
同行していた教諭は、
同県警の質問に『カメラ』とだけ答え、黙秘、あるいは発狂を繰り返しているようです。同県警は同教諭を事件の容疑者として捜査し、どうじに精神異常の可能性もあると見ています。

次のニュースです……」



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