ハーフムーン (32)

 2009-04-20投稿
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ミユキのさりげないツッコミ対し、亀山と名乗る男は、事もなげにこう答えた。
「大丈夫です。お二人のパスポートは、もう手元にあります」

そう言って亀山は、カバンの中から二人分のパスポートを取り出した。

「なんで俺たちのパスポートを、アンタが持ってるんだ?」
マモルが問い詰める。

「出発までお時間が無かったため、こちらでパスポートを取りに、ご自宅までお邪魔させていただきました。いや〜お二人ともすでに発行済みだったので、とても助かりましたよ」

「あり得ねぇ…」
マモルはあきれて言った。

「という訳で、今後の旅は私がご一緒させていただきます。どうぞご安心下さい」

「余計不安だよ!」
マモルは思わず言った。

構わず男は続ける。
「まずは搭乗手続きを行なっていただきます。今回はチャーター機を利用した特別便となっておりますので、通常のゲートは通らず、あちらの方からお入り下さい」

そう言って、ロビーの隅に見える、薄汚れた鉄製の扉を指差した。

「それでは、私は一足先に搭乗口に向かっております。こちらで手荷物検査を受けられてから、お越し下さい」
男は言った。

「手荷物なんか無ぇよ!」
マモルは半ば投げやりになっていた。

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