空を舞う枯れ葉は、私にさみしく秋を告げていた。
私の横には、私の大好きだった、決して届かないと思っていた、憧れの先輩がいる。
廉(れん)先輩とは、思い出の文化祭の話をした。
以前からおとなしい印象を与える廉先輩だけど、さらに大人っぽくなったように感じた。
秋風は遠く、遠く吹いていた。
「恋(れん)は今彼氏とかいんの?」
突然の質問に戸惑いながら、
「…いないです」
そう答えた。
「…俺も。昔から好きなやつがいたから」
しばらく沈黙が続いた。
秋風が私を誘うようにひょうひょう音をならしている。その音が気まずさをかき消していた。
「恋〜!!」
友達の南奈(なな)が来た。「偶然〜。何してたの!?」「あ…」
私は廉先輩を見た。
「…じゃあ、俺はこれで」「……サヨナラ」
廉先輩は去っていった。
南奈は
「…じゃました?」
と、気を使ってくれた。
「…ううん」
私はその場をあとにした。
外は、今にも雪が降りそうな程寒かった。