あしたなんていらないから?

あめの  2006-07-12投稿
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――…『ユキだよ』…――







耳が痛い。



今日担任に怒鳴られたせいなのか、
耳鳴りがする。



『自己申告しただけじゃんか』


僕は屁理屈を言って、耳鳴りが止むのを待ちながら
ずっとベッドにねころがっている。



『……ユキ…か。』




あれからずっと、彼女のことが頭から離れてくれない。



『明日から"ユキ"って呼ぶべきかな…や、でもいきなり呼び捨ては…でも"ユキちゃん"も慣れ慣れしい感じするし…』



僕はひとりでぶつぶつ言っている間に夢の中にいた。




―――…………『ブン。』


なに?


『ブン。あのね。』


え?



『あたしね。』


うん。



『……だから……で……けど…』


なに?なんて言ったんだ?聞こえないよ。
もう一回言って!
ユキ!

どこいくんだよ!
まだ名前よんでないのに!
ユキ!ユキ!






――――…………『ゆ…』


朝の静けさは、僕の叫び声でやぶられた。


『 ユ キ ! ! ! ! 』





ガバっと起き上がったつもりが、
ぐるっと視界が一回転して、僕は床にころがった。


『いたたた…』




外が明るい。


なんだ…夢かよ…



『…やな夢。』


昨日あのまま寝てしまったのだろう。



『いま…なんじ…』



ゆっくり時計を見ると、針は信じられない方向を指していた。


『…………ち、遅刻だーーッ!!!!』




僕は走った。

とにかく走った。


いつもなら、あくびをしながら制服に着替えて渋々家を出ているはずなのだが、

今日の僕はとにかく走ることしか考えてなかった。

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