幻覚に似た感覚と生きる上での享楽
空に浮かぶようにその綿の中で己の温かさを抱(いだ)いて眠れ
春は短い
しかし、人は羊を数えるより先にすべきことを垣間見るハズだ
美しいばかりではない
あたかも真実に見える柔らかい某(なにがし)かに酔うことに感じる戸惑いなど無価値でしかない
生きる以上に大切なこと、生きる中で夢見ること
怖れてはいけない
怖れはない
唇のほんの先で紅い実を掴み、その空(から)のグラスに落としてしまえば良い
水面に落ちたツツジの色は赤紫
水はなおも苔色
南東からの風にどこかへ流れて行く
君の睫毛(まつげ)の小さな曲率に落ちた雨粒は行く先を失って、どうしたら良いものか迷っているのだろう
そこには君の瞳の内奥(ないおう)が見える
甘く、澄んだ味
加糖シロップ
香りも同じ味