神の丘〜歩み〜?

佐奈  2009-04-21投稿
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「とても素晴らしいパーティーだわ。あなたの人望と、この会社を3年でここまで成長させた才能に、惚れ惚れしてしまうわ」

「私も、このパーティーを開いたことで、あなたのように美しい女性に出会えて、とても、ラッキーだと思っているよ。それも全て、あの”マリア象”のおかげだ」

そう言うと、寄り添う女性の腰に手をあて、パーティー会場の外に出た。

マーカスは女性の耳元でささやく。

「‥君だけに見せてあげよう。私の”幸運の女神”を‥」

「まあ‥うれしい。ここに、その女神は居るの?」

「ああ。片時も放さず、持ち歩いているんだよ」

マーカスと女性は、ホテルの最上階直通のエレベーターに乗り込んだ。

「その女神とは、どこで知り合ったの?」

「3年前に、名も無い美術商から手に入れた物でね、それを手にしてから、あれよ、あれよと上手くいってね。あっという間に、タルト1の貿易会社に成長したんだよ。私にとっては、まさに”幸運の女神”だよ」

「‥まあ、素敵。早く会ってみたいわ」

ポーン。

エレベーターはホテルの最上階65階に着いた。

扉が開くと、両脇に体格の良いボディーガードが立っていた。更に、スイートルームの扉の前にも、二人、立っていた。

マーカスが、部屋の前に立っている二人に向かって、軽く左手を上げると、ボディーガードは、扉の前を空けた。

マーカスはカードキーを差し込み、スイートルームの扉を開けた。

「凄いわ。あなた専属のボディーガードが居るなんて」

「このホテルには、15人のボディーガードが居る。なにせ、私の女神も一緒だからね…さあ、どうぞ」

スイートルームの中の一番奥の部屋の扉を開けた。そこは薄暗く、二つの小さなライトの光と、窓から見える夜景の光が目立って綺麗に見えた。

「‥あら、女性を、いきなりベッドルームに通すなんて、どういうつもり?」

女性は不敵な笑みを浮かべ、マーカスを見た。

「‥ほら、見てごらん。ベッドの横にあるナイトテーブルの上を。あれが正真正銘、私のマリア象だよ‥嘘はついていないだろ?」

そこには、確かにガラスケースに入った、木彫りの20?程のマリア象があった。

「‥君も、そのつもりで、私に近付いて来たんだろ?」

つづく

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